9時すぎに起き、パソコンの前に座り、ニュースのヘッドラインに目を通し、ぎょっとした。目を疑うというのはまさにこのこと。中村勘三郎の訃報。あり得ない。記事を目で追っても、気持ちがついていかない。とても現実として受入れられない。だって、そんな。呆然自失。
おそるおそるTVをつけると、いきなり勘三郎の映像。現実なのか。本当に。なぜ。頭が混乱する。一部で重態という報道はあったが、事務所が否定するコメントを出していたから、大丈夫なのだと、必ず元気になって戻ってきてくれるのだと、そう信じて疑わずにいた。ああダメ。テレビに映る勘三郎の姿に、声に、涙腺決壊。
今はこれ以上、書き続けるととめどなくなりそうだし、なによりまだ気持ちが整理できないというか、まだきちんとは受入れられていないので、このことは、今はここまで。
気持ちがそんな状態でも現実の時間は流れていく。オーダー枕と一緒に注文したマットレスが届くことになっている。当然、寝室に運び込んでもらうわけだから、片付けておかないと、とバタバタと動き回り、やれやれ、とひと息ついたところへインターホン。約束の時間より早かった。片付けが終わっていてよかった。
配送に来たのはお店で対応してくれたスタッフさんひとりだけで、これまで使っていたマットレスを引き取る約束なのが予想以上に重くて、彼ひとりでは駐車場まで運べそうにない。ど、どうしよう、と困り顔。大丈夫。手伝いますとも。「え、でもお客さんにそんなこと」って、仕方ないじゃない。さ、運びましょ。うんせ、うんせ、と運び出し、狭いエレベータに押しこむのにもひと苦労。さらに配送の車もギリギリのサイズで、二人がかりでグイグイ押し込んでようやく後ろのドアが閉まった。ふぅ〜。少しでも私の負担を軽くしようと奮闘してくれた彼は汗びっしょり。おつかれさま〜。やれやれ。
部屋に戻り、新しいマットレスをセッティング。これまでは分厚いマットレスの上にさらにテンピュールを重ねていたから、ガクンと低くなり、羽毛布団をのせてみても、なんだか部屋の雰囲気まで違って見える。新鮮。
そのあともテレビをつければ勘三郎のニュースが続いていて、またまた涙。コンブリオでも勘三郎の話題が出て、それを聴きながらまた涙。仕事の続きも手につかなかった。そんな中、とある弁護士から、別の法律事務所から翻訳者を紹介してほしいと言われたので私を紹介したからよろしく、とのメール。ありがたいけれども、今はまだ気持ちが後ろ向き。