まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

見上げると

maru992008-09-25

アラームを止めてしまったらしい。ギリギリやん! 腹ごしらえをする余裕もなく、バタバタと歌舞伎座へ。


初代吉右衛門を偲ぶ 「秀山祭」 の昼の部最初の芝居は、司馬遼太郎原作の 『竜馬がゆく』 で、去年の同じ 「秀山祭」 で上演された立志篇に続く風雪篇。竜馬を演じる染五郎は、意識的に髪をボサボサにしたり着古したよれよれの着物を着たりしているのだけれど、それでもスッキリした二枚目には違いなく、また線の細い人だから、茫洋としてドッシリした印象の竜馬とはイメージがだいぶ異なる。それでも幕開きから終始、清々しい風が吹きわたるような独特の雰囲気があり、寺田屋の場面でのスピード感も心地よく、時代の風雲児としての竜馬の人間像は十分に伝わってきた。西郷さんは錦之助。意外な配役にビックリしたけど、徐々になじんで、若干小粒なのは仕方がないとして、染五郎の竜馬とのバランスは良かった。亀治郎おりょうは面白かったなぁ。かなりはっちゃけていながら、嫌味のないのがいいところ。若い世代ばかりで演じる舞台だから、このぐらい勢いがあっていい。中岡慎太郎を演じる松緑が筋書で、自分は新撰組のスタンスに共感する佐幕派だから中岡はあまり好きではないと語っていて、この時代に興味がなければ出てこない言葉だなぁ、とちょっと感心した。


続く 『ひらかな盛衰記』逆櫓は、昼の部唯一の初代吉右衛門ゆかりの演目だし、8年ぶりの上演だったというのに、途中で何度か意識を失ってしまった。睡眠不足ではなかったんだけどなぁ。いかんいかん。


最後は 『日本振袖始』。こちらは10年ぶりで、10年前と同じ玉三郎が岩長姫を演じ、後半で八岐大蛇に変身する。美しい姫がおどろおどろしい姿に変身するという流れは 『紅葉狩』 と同じだけれど、まだ姫の姿のままで、生贄として差し出された稲田姫に襲いかかる場面が独特。大蛇の分身がたくさん登場して、一体となって巨大な大蛇を構成する振付が面白い。逆櫓にも船頭の役で出ていた染五郎素盞鳴尊スサノオノミコト) を演じ、染五郎、昼の部の3つ全部で大活躍。


肝心の逆櫓で寝てしまったから、今日は 「秀山祭」 というより染五郎祭だったわ〜。明日は夜の部だけど、また居眠りしないように、しっかり寝ておこうっと。