まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

念願かなって

maru992006-09-08

ようやく仕事がはけたので、午前中はのんびり過ごし、午後から銀座へ。めざすはシネパトス。念願のイッセーさん主演映画 「太陽」 を観に行く。公開当初はこの映画館始まって以来の大入り満員で記録を作ったほどで、連日長蛇の列ができているそうなので、ちょっと落ち着くまでと様子をみていた。その後、シネパトスは上映回数を大幅に増やして、シネパトス1・2の2館で1日5回ずつ、2館の間で1時間ずつずらして、ほぼ1時間おきに10回も上映するという、これもシネパトス始まって以来のこと。2時半ちょっと前に到着し、ゲットした整理券は3時半からの回の10番目。3時10分の集合時間まで近くのタリーズでコーヒータイム。


隣りの女の子が歌舞伎座の筋書を開いていた。熱心にあらすじを読んでいる。昼の部は真っ最中だから、夜の部の予習かな? 私は予習より復習重視型。最近は初めて観る演目って少なくなっちゃったけど、歌舞伎に限らず他の芝居でも、まずは白紙の状態で観て、あとから筋書を読み込む。本来は初めて観ても十分に分かるように創られていないといけないと思うし、予備的な情報がない状態での印象や感動を大事にしたい。でもまぁ、歌舞伎の場合は長い長い物語の一部分だけを上演することが多いから、初めてだとチンプンカンプンだったりするんだけど。


持参した書評の本の2冊目を読む。旧仮名遣いが新鮮。でもたまに分からない言葉が出てきて、電子辞書が大活躍。でも集合時間に遅れたら大変、と時間が気になってしまい、イマイチ集中できないままにタイムリミット。


平日の昼間だというのに、整理券はすでに60番台ぐらいまで出ていた。10番と早い番号だったので、私にとってはベストと思える席を確保。さすがに満席まではいかないけれど、8割ぐらいはうまっている。予告編の 「アリの兵隊」 も観たいと思った。いよいよ上映開始。ワクワク。


… すごかった! それほどメイクをしているわけでもなく、まぎれもなくイッセーさんなのに、まったく知らない顔をしていた。映画 「トニー滝谷」 のイッセーさんは、ライブ終了後の物静かな素顔そのままのナチュラルなイメージだったけど、この作品のイッセーさんは本当に別人になってしまったみたい。重いテーマを扱いながら随所にユーモアたっぷりの場面があり、そういう時にチラリとライブのイッセーさんがのぞく。イッセーさんが演じる昭和天皇が午睡の間に戦争で国家が破壊されていく様子を悪夢に見る、その映像が素晴らしい。マッカーサーとの会談の場面では、終始坦々と話す天皇が一瞬、声に怒りをこめ、ピシッと緊張感が走る。おだやかな人柄の中に秘めたい怒りが噴出する瞬間。皇后を演じた桃井かおりは、ラストだけの出演なのだけれど、佐野史郎が演じる侍従長天皇との短い会話の中で戦争の悲惨さが象徴的に語られるその瞬間、戦争という地獄の中へ愛する人を送り出した全女性の怒りと哀しみを凝縮してみせる、その凄まじい表情。エンドロールの間、ほとんど放心状態だった。すごすぎて…。


終了後にパンフレットとオフィシャルブックを買い込み、次の回に並ぶ行列を横目に、再び銀座の街中へ。まずは教分館へ。お仕事中のみかさんにご挨拶。9階で開催中の 「藤城清治 光と影展」 を観る。よく知ってるようなつもりでいながら、じっくり観たことってあまりなくて、とても新鮮だった。まず構図が素晴らしい。ひとつひとつの作品がどれも絶妙な安定感やバランスで、なんとももう、うなっちゃうぐらい。「広島赤十字病院の曲がった窓枠」 という1枚は、観てきたばかりの映画とシンクロして、重く心に響く。また、とても魅力的だったのが 「銀座いろはカルタ」 で、銀座の様々な風景がこれも素晴らしい構図で描かれていて、歌舞伎座の屋根の上で 『暫』 の鎌倉権五郎が大見得を切ってる1枚と、鰻の竹葉亭の前に鬼平がいる1枚とが特に気に入ってしまった。絵葉書でもあれば、と全部見終わった後に別の階のグッズ売場に行ってみたけど、いろはカルタは箱入りのカルタ一式4800円しかないし、図版もちょっとほしいと思ったんだけど、2500円という値段はともかくずっしりと重くてかさばる装丁だったので見送り。(帰宅してからHPを検索したら、ほしかった2枚の画像が小さいけどちゃんと公開されてた。へへっ♪)


木村家でちょこちょこと買い込み、日比谷線の中で映画の筋書を開く。シナリオに現場の様子を書き加えた採録がすばらしい。映画の全編を追体験しながらメイキングも同時に楽しめちゃう。ああ、読んでたらまた観たくなっちゃったなぁ。DVDになるかなぁ。


途中でお腹が空いて、マルイのレストラン街へ。エレベータの中にポスターが貼ってあった カルビクッパが美味しそうだったので、その店に行ってみると、家族連れとカップルでいっぱいの焼肉屋。カルビクッパ1品でもOKなのを確かめてカウンター席へ。アツアツのカルビクッパをハフハフ食べながら、みかさんにもらった 「銀座百点」 を読む。銀座の老舗で働く女性たちの対談の中に、「銀座にくるときには、お洒落というか、きちっとした身なりと物腰で来てほしい」 というひとことが。作務衣でウロウロしている私…。


お腹一杯の帰り道、久々にプロントに寄る。ついつい筋書に続いて映画のオフィシャルブックを開いてしまい、ある程度まで斜め読みしたところで、いかんいかん、と書評の本に切り替えたものの、5分もしないうちにオバサンの集団がドヤドヤとやって来て、とても本を読める環境ではなくなってしまったので退散。どうも今日はこの本と縁がなかったわ。重いのを持ち歩いたのに。


帰宅すると同期会欠席のハガキが3通。はぁぁ〜。でもまぁ、3人とも前回欠席だった人たちだし、そのうち1人は北海道にいる人だから、仕方ないか。ドンマイドンマイ!