まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

曲水の宴

maru992006-03-17

7時の目覚ましどおりに起きると、窓の外は、すっかり晴れている。え〜っ! 天気予報も曇り→晴れで、降水確率はゼロに近い。夕べの予報と全然違うじゃん! これでは5分で着られるポリエステルの着物もどきというわけにいかない。1時間半ぐらいあるからなんとかなるはず。急いで支度をして、白大島の着付を始める。幸い、私にしてはスムーズに30分ちょっとで終了し、じっくりコーヒーを楽しむ余裕もあった。


早めに家を出ると、確かに晴れているものの、夕べと同様のすごい風。あっという間に髪はボサボサ、裾を押さえていないとあられもない格好になっちゃう。ようやく駅に着いたら、ホームが人でいっぱい。人身事故の影響で上下線とも運転を見合わせていたのがようやく解除され、運転開始後最初の電車が入ってくるところだった。だもんだからすごい混雑で、足を踏まれまくりで足袋が汚れてしまった。ガックリ。


待ち合わせ場所の両国駅に10分以上前に着いたのに、着物のお店の担当さんと別のお客様の2人がもうご到着。あれ? 2人とも洋服? 雨が降らなかったら着物って約束したのに! だから頑張って着てきたのにぃ。今日はお店のイベントではなく、担当さんもプライベート。別のお客様で昨年末のイベントで歌舞伎座にご一緒した方が橘凛保というお名前で三味線の野澤松也さんと創作浄瑠璃の活動をしていらして、今日は彼女が主催する 「曲水の宴」 という雅なイベント。まずは東京水辺ラインの両国発着場に向かう。


橘凛保さんがこの日のためにと羽衣のイメージで作った着物が素晴らしい。帯も同じ作家さんが合わせて作ったものなので、まさにベストマッチでうっとりしちゃう。彼女の司会で、隅田川を船で下りながら、「曲水の宴」 の始まり始まり。本来は川上から流した盃が自分のところに来るまでに和歌を詠み、詠めればその盃でお酒を飲むことができ、詠めなければお預けという趣向のところ、和歌のたしなみなど持ち合わせない参加者ばかりなので、百人一首の札をとりあい、とれたらお酒というグッドアイデア百人一首は中学・高校と必修クラブで楽しんでいたから当時はほとんど全部覚えていたのだけれど、ブランクが長いからすっかり忘れてしまったなぁ。昔は大抵、上の句の最初の5文字で下の句まで分かったのに、下の句まで聞いてからじゃないと探せない。それでも5人のテーブルで最年少だったせいか、真っ赤な盃で3杯ほど頂く。


船は一巡して両国に戻り、ここからは徒歩で柳橋の料亭 「亀清楼」 へ。安政元年(1854)の創業ということになっているけれど、実際はさらに古いという説もあり、往時は柳橋にいくつもあった料亭も今ではこの1件だけ。建て替えで近代的なビルになってしまっているのが残念。30畳あまりの大きな宴会場で、着物は好きだけど正座が大の苦手な私にはとっても厳しい。最近はそういう人が多いらしくて、縦長の枕みたいのが用意されていて、これを使ってどうにか落ち着いたものの、決して楽ではない。普段フローリングでまったく正座なんかしないからなぁ。まずはお料理を頂く。とろとろの豚の角煮がと〜っても美味しかった。


メインイベントの創作浄瑠璃が始まる時には、テーブルを離れて座布団持参で前の方へ行き、じっくり聴かせて頂く。とはいえここでも正座がつらくて、たまらず崩してしまった。お行儀悪くて恥ずかしい〜。三味線の豊かな音色で様々な擬音を楽しんだ後、創作浄瑠璃かぐやひめ」。遠い昔、琵琶法師が各地を回っては物語を弾き語り、その哀切きわまる音色に人々は涙を流したという、その原型に近いように思った。太棹の調べにのって語りと台詞と唄とが交じり合い、想像力をかきたてていく。う〜ん。なんとも優雅なひととき。文字を持たない人々の間でも、物語はこうやって語り継がれてきたのだろう。ああ、こんなに素晴らしい音色をきちんと正座して聴けない私って!


イベントはここで散会。そのあと浅草橋まで川辺をそぞろ歩き … というには相変わらず風が強すぎて風情に欠けるものの、佃煮やら和菓子やらのお店に立ち寄り、私も和菓子を購入。駅の近くでドトールに寄り、しばしオシャベリしたあと、4時すぎにおひらき。5時すぎに帰宅して、足が痛かったからすぐに足袋を脱いだら、痛かったのは足袋のせいではなく、その上にはいていた足袋カバーのゴムがきつい (というか、私の足が太い) せいだと分かった。なんだかなぁ。


一息ついてからしばし仕事をして、9時からは 「女王の教室スペシャルを見た。視聴率がよかった番組にこういう番外編みたいなものが作られるのはよくあることで、蛇足に終わることも少なくない。今回も、シリーズの当初にはおそらく設定されていなかった真矢の前歴を無理やり作り上げての放送なので、とってつけたような感があるのは否めないものの、蛇足というほどではなく、それなりにまとめてあるなぁ、という印象。今日の続編にも期待しよう。


お風呂で 「へうげもの」 というマンガを読んだ。ダヴィンチで 「今月のプラチナ本」 として紹介されていて興味を持ったものの、近所の書店ではどこも置いてなくて、出版元も品切れだと言われてあきらめていたところ、帰りに寄った御茶ノ水丸善には山と積まれていたんである。ダヴィンチがとりあげなかったらまず手に取ることのない本だけど、さすがダヴィンチ。面白かった。


な〜んか疲れたなぁ。身体中のあちこちが痛くて、お風呂の中でせっせとマッサージ。明日も仕事だ〜。