まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

天王洲アイルの夜景

maru992005-10-20

めっきりと涼しくなってきたので、今季初めてのシチューを作る。4種類のお豆とジャガイモとウィンナーのシンプルなホワイトシチュー。あんまりたくさん作るとあきちゃうから、小さなお鍋で控えめに。コトコトコトコト。トロ火で煮込む間にふわ〜っとただようやさしい匂い。それぞれに大きさの違うお豆の食感が楽しい。素朴な簡単レシピ。


割込みの4ページをさっさと済ませて送信。あ、そうそう、税務署に電話しなくちゃ。確定申告に向けて記帳指導を希望するかどうかのアンケートが届いているのだけれど、選択肢にどうも私の現状に合うものがなくて、どう記入していいやら分からず、とりあえずほったらかしにしている間に、今日が締め切り。担当者の女性は不在で、代わりに応対してくれた男性がとってもいい声で、話し方もいい感じで、すっごく好感度高かった。税務署っていうだけでつい身構えてしまうところがあるけど、なんだかずっとお話していたいぐらいだったなぁ。無料だし煩雑な手続もいらないし日程の調整も融通がきくから、まず一度受けてみたらどうかというアドバイスに納得して、一応は申し込んでみることにした。確定申告かぁ。1年なんてあっという間だなぁ。


やりかけの仕事を2時間ほど。まだいつ終わるかメドが立たないなぁ。でも今日は夜にアートスフィアで、「坂上みきの BEAUTIFUL プレゼンツ 歌舞伎と夢の担い手たち」 というイベントがある。今日も午後は坂上さんのラジオを聴いていたのに、その坂上さんに同じ日の夜ステージで会えるなんて。ゲストは染五郎愛之助で、2人とも舞台の都合があるので開演時間は8時とゆっくり。浜松町からモノレールに乗るのは久しぶり。「柝の会」 の手伝いをしていた頃は、毎月スフィアメックスでのセミナーに通っていたっけ。会場で、誰かしら知ってる人が来ているんじゃないかと見回してみたけど、意外に見当たらなかったな。名取裕子さんの姿があった。愛之助が今日千秋楽の舞台で同座していたらしい。


さて開演。坂上さんは上品な着物で登場。トークの間、落ち着かないのか始終袖をいじっているのがなんだかかわいらしい。まずは染五郎がスーツで現れ、坂上さんとはとても親しいから互いにツッコミが爆裂して、メチャクチャ面白かった。染五郎ってトークのセンスもすごくいい。あくまで二の線なんだけど、気取ったところやイヤミがなくて、どこかポーンと突き抜けている。続いて愛之助もまずはスーツで登場。こちらはグッとくだけて、トークもどちらかといえば坂上さん主導なんだけど、ギアが入ると一気にテンションが上がる。こんなに面白い人だっけ、とちょっとビックリしちゃったぐらい。そのあと15分の休憩をはさんで、2人はそれぞれ羽織袴に着替えて再登場。江戸の歌舞伎と上方の歌舞伎について3人でトークしたあと、舞台上にわずか2畳のタタミと火鉢だけを置いた小さなスペースで、羽織袴で素顔のまま、「封印切」 の忠兵衛と八右衛門を交互に演じる。最初は染五郎の忠兵衛に愛之助の八右衛門。次は役を替えて、愛之助の忠兵衛に染五郎の八右衛門。染五郎は6月に仁左衛門の八右衛門を相手に忠兵衛を演じたばかりだし、愛之助も初春歌舞伎で両方を演じた経験がある。とはいえなんといっても上方歌舞伎の代表のような芝居。染五郎には圧倒的に不利だ。台詞の流れや勢いが違う。上方育ちの愛之助に較べると、染五郎がいくら上方芝居に興味をもって勉強中だといっても、いわば留学生が習いたての関西弁みたいな違和感。最初に忠兵衛をやった時にはまだよかったけれど、その時もどちらかといえば愛之助の八右衛門の方が優勢だった。あくまで八右衛門の悪口に乗せられる形で忠兵衛は怒りを募らせていく。それが役を替えると、忠兵衛主導の芝居に変わってしまう。染五郎の八右衛門が忠兵衛にひきずられてしまう。染五郎愛之助を単純に比較すれば、人気の点でもキャリアでも、染五郎の方が格が上という評価が一般的なはずだ。もちろん上方芝居でなければこういう結果にはならなかっただろうけれど、それだけ愛之助が成長したということでもあり、それほどに上方芝居が難しいということでもあるのだろう。


それにしても、直前までトークでさんざん笑わせていながら、スイッチを切り替えてすぐさま芝居の世界に入っていけるところはさすがだ。喫茶店でほんの少し打ち合わせはしたそうだけれど、決して演じやすい状況ではないのに、2人ともすごい集中力で、テンションを上げて汗だくの熱演。感動しちゃった。


いい企画だったなぁ。大満足で帰路に着いたのは10時すぎ。うっかりして天王洲アイルから自宅の最寄り駅までずっとJRの切符を買ってしまった。これだと西日暮里で千代田線に乗り換えることができないので、仕方なく常磐線の快速を使う。それでも結局、北千住で千代田線に乗り換えることになる。ただ単に西日暮里の改札は千代田線の切符がないと入れないけど、北千住はフリーパスというそれだけのこと。始点と終点が同じなのに、変だよねぇ。


その日の疲れ具合は駅からの帰り道で分かる。足がずず〜んと重くて遅々たる歩みの時は、このままずっと家までたどり着けないんじゃないかと思うぐらい。それが今日はどういうわけかやたらと元気で、階段なんか一段抜かしで降りられるんじゃないかと思うぐらいに大またで、腕もブンブン回っちゃう。だからというわけでもないけれど、帰宅してまもなく日付が変わってしまったというのに、それから仕事を始める。さ〜て、何時まで続くかな?