まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

まるで小さな風車

maru992005-06-13

世間様の始業時間に合わせて9時前に起床。明日にはプリンタを修理に出さなければいけないのに、請求書の発行が保留になっている案件がいくつかあるので、確認依頼のメールを送る。すぐに返事が来たのは1件だけ。その分の請求書を印刷し、残りの2件の返事を待ちながら、片付け物をしたり編み物したり。でも返事が来ないまま、あっという間に2時半を過ぎてしまったので、アルパのレッスンに出かける支度を始める。


ちょっと早めに出ようとしたところへメールの着信。アメリカの弁護士からだ。昨日クライアントに別の書類を送ったから、それも依頼するかどうかクライアントに直接きけって?! それはないんじゃないですかぁ? 私はあくまで先生から依頼を受けてるわけだから。クライアントが私に翻訳させるつもりがあるかどうか分からないのに、私の方からその書類を翻訳すべきかどうかなんてきけないでしょ。どうもこの先生とはコミュニケーションがうまくいかないんだよなぁ。クライアントに依頼する気があるなら連絡があるだろうから、ちょっと保留。


時間に余裕があるので乗換駅の御茶ノ水丸善に寄り、FirefoxThunderbird の解説本を立ち読みした後、店頭の中古本バーゲンで、ベトナムのお菓子、スイスのケーキ、冷たいケーキの3冊を格安でゲット。これからレッスンだというのにいきなり荷物が重くなってしまった。


レッスンでは、先生がまだ風邪の名残か声が出なくて苦しそう。とってもハスキーで別人みたい。自分からリクエストした 「月の光」 は、とってもエレガントな曲なのにブッツンブッツン切れ切れで、月もあきれて空から落ちてきちゃいそう。ハーモニックスもちっともうまくできなかったし。カナシイ〜。ただスカルプチュアのおかげで親指の音がクリアに出ているとのこと。あらためて Nacomplex さんに感謝! 9月後半の発表会に向けて、もう多くの人が曲を決めているときいてビックリ。もうそんな時期かぁ。去年みたいに号泣しないためにも無難な曲を選びたい気もするし、無難な曲を選んだにもかかわらずまた失敗して泣いたらもう立ち直れない気もするし。難しいところだわ〜。「月の光」 は今後も練習を続けることにして、とりあえず頂いた新しいレッスン曲は、「アラジンのテーマ」。左手の弾き方が変わっていて、右手と合わせるのが慣れるまでは大変そう。


帰りも御茶ノ水で、今度は画材店のレモンに寄る。大泉学園の方で絵を教えてくれている鄭さんがモデルさんを使って油絵を描くことになっていて、もしよかったら私たちも一緒にデッサンなり油絵なり描いてみないかと言ってくれたので、デッサンする場合に必要なスケッチブックと、絵の具と筆の補充を少し。またまた荷物が重くなっちゃった。


なんだか急にお腹が空いて、駅ビルの地下にあるコーヒーショップに寄ったら、たまたま隣り合わせた席では英語のレッスン中。会社帰りらしいスーツ姿の若い男性がテキストを朗読し、単語につまるとネイティブの先生が英語と日本語のチャンポンで解説をしている。生徒の彼も先生もとても熱心な様子が好ましく、つい口元がゆるむ。私が耳ダンボしているのがバレたのか、先生の視線を感じて見ると、いかにも人なつこそうな笑顔。思わず笑顔を返してしまった。テキストは短編で、窃盗で裁判にかけられた男が陪審員席に旧友の姿を見つけ、有罪を覚悟していたけれど、旧友の助けがあれば情状酌量が認められるかもしれないと期待し、果たして期待通りになる。男は旧友に感謝し、どうやって他の陪審員を説得したのかと尋ねると、旧友が言う。「他の陪審員は全員無罪を主張したんだが、俺ひとりの意見が通って情状酌量 (つまり有罪) になったんだよ」 と。ざっとまぁこんな話。なるほどねぇ、と私は隣りでつい頷いてしまったのだけれど、生徒の彼は酌量を表す mercy の意味がつかめず、皮肉なオチが分からない。先生はなんとか分からせようといろんな例文を出すものの、「mercy はフランス語ではメルシーだ」 なんて言うから彼はますます混乱してしまう。ああもう、もどかしいったら。すると、「英語分かりますか?」 と先生が私に声をかけてきた。英会話なんて久しぶりだから緊張しながら、翻訳の仕事をしていることを伝えると、"Wow!" とのけぞる大きなリアクション。遠い昔、英語の学校で2百人近い外国人講師を相手に仕事をしていた頃には日常茶飯事だったけれど、なんたってブランクが長いからすっごく新鮮。オチが分かったかときくので、こういう話でしょ? とかいつまんで言うと、そうそう、と先生はいたく喜んで、彼に日本語で説明してくれと言う。ん? それって勉強の邪魔になるんじゃ? 「僕はまだバイリンガルと言えるほど日本語を使いこなせないので英語だけで教えるのは限界があるんだ」 と先生が言うので、それならと彼に説明すると、やっとオチが通じてめでたしめでたし。ところがこれで終わらず、先生は意外なことを言い出した。自分はいろんな分野で英語の仕事をしているが翻訳はできない。もしかしたら仕事を頼む機会があるかもしれないから、名刺をくれというのだ。ビックリ。営業なんてまったくしていないから名刺を持ち歩く習慣がない。社交辞令なら気を遣わなくていいんだけどなぁ。メモでもいいから、と手帳を差し出され、それでも固辞するとまるで先生を変な人じゃないかと怪しんでるみたいで悪い気もして、ローマ字の名前とフリーメールのアドレスだけを書いてきた。やっぱり緊張していたのか先生の名前をきくのを忘れてしまったなぁ。どうせ連絡なんかないだろうけどね。とってもマジメそうな生徒の彼は、弁護士を目指しているらしい。ひょっとして将来、私が仕事を受けている事務所のどれかに就職したりして〜!


それにしても、ちょっと面白い出会いだったのに、私ってば平日の夕方にいつもの作務衣にサンダル履きで、もちろんスッピン。書店と画材店の袋を下げて、隣りの席で耳ダンボしながらやっていたのは編み物で、それで職業は翻訳って、なんだかとってもうさんくさくない?!