まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

maru992014-11-25

歌舞伎座千穐楽の昼の部。舞台を清める意味合いもある「寿式三番叟」で幕を開け、我當さんの翁に若手の千歳が付き従い、厳かに、そしてゆるやかに。そのあと染五郎松緑の三番叟がキビキビと舞い収める。よく計算されているなぁ、と毎回思う。

井伊直弼安政の大獄により反対勢力の恨みを買い、桜田門外で暗殺されるまでの苦悩の日々を描く「井伊大老」。吉右衛門の井伊に正妻の昌子を菊之助彦根で部屋住みだった時代からの愛妾お静を芝雀。お静には苦衷を吐露し、自分の妻はお前だけだと抱きしめる場面があるんだけど、どうしてもここで昌子が気の毒になってしまうのよねぇ。昌子への嫉妬を隠さないお静に対し、昌子はお静への気遣いを見せるいい妻なのに、お静の正直さが井伊にも居合わせた禅師にも「かわいい」と映る。やっぱり昌子が可哀想。

さらにその次が「熊谷陣屋」で、熊谷の妻相模は初陣の息子の安否が心配で陣屋まで訪ねてくるのに、その息子は主君の命により平敦盛を助けるための身代わりとして夫の手で首を斬られ、その首を主君の前で突きつけられ、呆然としている間に夫は世の無常を嘆いて勝手に出家してしまう。夫婦ふたりきりの時間もなく、夫は妻に言葉をかけることすらない。主人も跡取りも亡くした武家は取り潰されるしかないのに、あとのことなどお構いなしでひとり旅立つ夫を相模は見送るしかない。勝手すぎるでしょ。

… とまぁ、こんな狭い視点で観てはいけないんだろうけども。幸四郎の熊谷に魁春の相模、弥陀六が左團次さん。菊五郎義経が凛としていてステキだったなぁ。

実は今日の朝10時から、12月15日の6時から八重洲ブックセンターで行われる左團次さんの出版記念のトークイベントの申込が始まっていて、その日は6時すぎまで東劇でMETの「カルメン」だから、残念ながら行けないわぁ、と左團次さんの番頭さんに思いきり嘆いて帰ってきたのだけれど、あきらめきれなくて、八重洲ブックセンターに電話したら途中からでも参加できるっていうから、申し込んじゃったぁ。だってこんなイベント、久しぶりなんだもん♪