まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

涼しげな

maru992006-06-30

6月最後の今日は、まずは銀座へ。銀座にあるのに 「渋谷画廊」 というところで、日本画廊協会展。日差しが強い中をせっせと歩いてきたので、画廊に入ってひと息つくと途端に汗が出てくる。I さんがオーナーの画廊茶房 「節」 からは、鄭先生の油絵のほか、鄭先生と同じ I さんの生徒である留学生の高さんの水墨淡彩と田さんの工芸の3点が出品されている。鄭先生の作品は、卒業制作に続いて奥様を描いたもので、ちょっと不安げな眼差しで憂いを含んだ表情が 「国を離れて」 というタイトルにピッタリ。他にも別の画廊から、やはり I さんを通じてお知り合いになった方の作品が出品されていた。全部で30点ほどの作品をひとつひとつじっくり見た後、再び 「節」 のコーナーに戻って再度堪能。落ち着く空間だなぁ。ようやく汗もひいたところで失礼して、再び暑い通りへ。くの屋の前を素通りできずに、ついふらふらと入って涼しげなトンボ柄のガーゼのハンカチを買ってしまった。


朝バタバタしていて何も食べていないからお腹すいちゃったな。でも次に行く江戸川文化センターは初めての場所なので、方向音痴の私としては少なからず不安があるから、まずは移動して、センターの中にあるレストランで昼食にしようと決め、丸の内線から総武線に乗り換えて新小岩で下車し、都バスに乗る。バス停からは徒歩3分って書いてあったけど、すぐに見えるわけじゃないのね。きっとこっちだな、とまったく自信がないまま歩き始めた途端、「おたずねします」 と道をきかれてしまった。同じバスに乗っていたらしい年配のご婦人方が6〜7人。いずれも同じセンターに歌舞伎を見に行くお仲間らしい。「私も初めてで分からないんですけど、きっとこっちじゃないかと」 と一緒に歩いていくと、案内板を発見。合ってる合ってる。よしよし。無事にたどり着き、「ありがとうございました」 と深々と頭を下げられてしまい、恐縮することしきり。合っててよかったぁ〜。


チケットは受付預りとのことなので、まずは受付に行ってみたのだけれど、まだ担当者が来ていないとのこと。ならば、とレストランのある3階に上がると、ありゃりゃ、長蛇の列。とても間に合いそうにない。そのままガマンするには空腹すぎるので、仕方なくセンターの外へ出てみる。住宅街の中にあるセンターで周辺すぐのところにはまったくお店がないのでどうなることかと思ったけど、ようやくコンビニを見つけてオニギリを買い、センターに戻るともう開場間近。再び受付に戻ると、同じ担当者を待つ人たちが列をなしていて、すでに開場して数分、ようやくその担当者が到着。汗だくで、待ち構えていた人たちと応対する間にもテーブルに汗が流れ落ちるぐらい。すでに席は決まっていて、名前を言ってそのチケットを引き取るのかと思ったらさにあらずで、名前はどうでもいいというか、「何枚ですか?」 ときかれるだけなので、ご一緒するお仲間と隣りの席になれるように2枚引き取り、彼女にその旨メールしようと入力を始めた途端に合流。めでたしめでたし。すでに昼食を済ませていた彼女に失礼してオニギリを頬張り、3階席へ。


勘三郎襲名披露の巡業初日。歌舞伎座での披露からすでに2年目。襲名の挨拶も共演者のお祝いの言葉も、もう何回繰り返されてきたのだろう。襲名ってやっぱり大変だなぁ、とあらためて思う。かなり空席が出ているような話だった割には、9割方うまっているように見えた。勘太郎博多座で膝を負傷してしまい、昼の部は芝のぶ、夜の部は七之助が代役。パパの襲名になかなか兄弟がそろわないねぇ。「十種香」「口上」「身替座禅」 の3本で昼の部は終了。やっぱり中村屋の人気はすごい。


歌舞伎座でよくお見かけする大向こうの会の皆様も3人が 「ご出勤」。そのうちのお一方が最後の幕で私たちの前の席にいらして、私たちがたまたま掛け声の話をしていたものだから、振り向いて話に加わって下さった。「待ってました!」 って、どうでもいいような場面でかけないでほしいよね、というような話をしていたら、「待ってましたは本来、ひとつの芝居で1箇所しかかけちゃいけないものなんですよ」 って。他にもいろいろ教えて下さった中で特に面白いと思ったのは、歌舞伎は男ばかりで、女形も声を変えて演じているのだから、女性が声をかけると男だけの世界に生の女性の肉声がまじってしまうから、昔の劇場では女性の掛け声はご法度だったということ。ここ何年か特に女性の掛け声が多くなってきた。どうもあまりいいモノじゃないんだよね。なんかこう、違和感があって。3人とも角切銀杏のハッピを着ていらして、「襲名の時、お祝い返しにもらったんですよ」 と身頃の裏にお名前を縫い付けたところまで見せて下さった。芝居の間も双眼鏡でじっくり観ていらしたし、本当にお好きなんだなぁ、となんだか嬉しくなっちゃった。


終演後、駅前のルノアールティータイム。お互いフリーランスなので、歌舞伎談義だけじゃなく、ちょっと仕事の話もしたりして、楽しい時間をすごす。呑ん兵衛2人組なんだけど、幸か不幸か彼女はそのあともうひとつ予定があり、時間も早いので、まだ赤提灯が点灯する前におひらき。家に帰ってから彼女に頂いたお土産を開けてみると、おおっ! ハマグリとアサリの串焼きのいい香り! さすが呑ん兵衛さんだわ〜。ごちそうさまですぅ。


何が嬉しいって、まだ新しい仕事がきていないこと! どうかこのままもうしばらく…!!!