まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

新春浅草歌舞伎♪

maru992006-01-08

普段、昼の部の歌舞伎は朝が早くて着付が間に合わないから着物はあきらめてしまうのだけれど、今日は別。だって新春だし、それに昼夜通しで観るうち、夜の部は 「着物で歌舞伎」 というイベント。なので携帯のアラームを7時、7時半、8時と3段階でセットし、2回目の7時半と3回目の8時の間ぐらいにようやく起床。普通に起きればいいときは通常の目覚まし、どうしても所定の時刻に起きる必要があるときは携帯のアラームというのがいつのまにか習慣になってる。


歌舞伎座の初日とほぼ同じコーディネート。というのも今回の着物が実に歌舞伎向けなので…。ただ前回は雨コートだったのを羽織に変え、着物は衿もとが寒いのでスカーフをみつくろう。ふと手に取ったオレンジっぽいスカーフがなんと、羽織のよろけ縞とほぼ同じ色! 嬉しい偶然。難しいお太鼓柄の帯にもようやく慣れてきて、順調に着付終了。よしよし。


松の内はすぎたとはいえ、浅草は例年どおり、いろんな言葉が飛びかう大賑わい。仲見世通りの人ごみに浅草寺への初詣はあきらめ、直接劇場に向かう。ロビーは各方面から役者に贈られた花でいっぱい。メディアへの露出度に比例して獅童への花が増えてる。舞台写真の販売は10日すぎということで、メインの若手の素顔のブロマイドだけ販売されていた。全身とアップと2枚ずつ。どうしようかなぁ、とさんざん迷った末に、まぁ、この機会だけのお楽しみだから、左團次さんの息子さんである男女蔵さんのアップの写真を買う。


新春らしく縁起物のお店もたくさん出ていて、「裏干支」 という言葉を初めて目にした。十二支のうち自分の生まれ年の対極にあるのが裏干支で (子年なら午、丑年なら羊)、その干支の人とは相性もよく、自分を守ってくれるんだって。人形師の辻村ジュサブローさんは酉年生まれなので、裏干支の卯 (兎) を大切に思う気持ちから、兎の人形をたくさん作っているそうな。知り合う人にその都度 「何年ですか?」 ときくわけにもいかないけれど、自分の生まれ年と裏干支につながるグッズを身につけていると縁起がいいらしい。… というのが表は生まれ年、裏には裏干支というキーホルダーを売っていたオジサンの話。そこまで詳しい説明を聞きながら買わないわけにはいかなくなっちゃった。


第二部は、歌舞伎座から出張しているスタッフも役者の番頭さんたちも、みんな着物でお出迎え。左團次さん・男女蔵さんの番頭さん (普通に言えば、女性マネージャー) も、桜色の総しぼりの着物が若々しくてとてもお似合い。洋服で来た人には半纏の無料貸出 (というか、客席にスタッフが回ってくるので、受け取って着ないわけにはいかない雰囲気)。着くずれを直してくれるコーナーまであって徹底している。嬉しいことに、いちばん大きく華やかな花の前でスタッフがカメラのシャッターを押してくれるサービスもあって、私も1枚撮ってもらった。その花の贈り主は、私が書評を書かせてもらった写真集の出版元である世界文化社さん。しっかりその写真集も飾られていたので、期せずして書評の本と一緒に記念撮影とあいなった。


第二部の始まりに、きれいどころぞろいの浅草太鼓の実演。浅草芸者のみなさん。正直、美人だなぁ、と思うのは2人だけだったけど (失礼!)、あでやか〜。一番美人さんだと思ったオネエサンだけアップで撮ってみたりなんかする。


肝心の芝居はどうかというと、いやぁ、もう、とにかく若い。若手ばかりの公演を浅草が街全体でバックアップし、今のメンバーで定着してからもう6回目。「着物で歌舞伎」 の日だけ特別に、と終演後にメインの7人による舞台挨拶があり、その中で彼らも真摯に感謝の気持ちを述べていたけれど、若手が中心になって大きな劇場で公演ができる機会が定着しているというのは、彼らにとって本当に幸運なことだと思う。技術があっても発表の場を持たない表現者もたくさんいるのだから…。男女蔵さんたら、「もう何年も前から 『水着で歌舞伎』 を提案しているのになかなか実現しない」 とか、「着くずれのお直しを来年は僕が担当したい」 とか、さんざん笑わせたあとに、「着物で歌舞伎フォーッ!」 と雄たけび。ゆくゆくは左團次さんと並んで、顔を上げた途端に客席がわく口上の目玉になるかも。


7時半の終演後、急いで北千住に向かい、着物のお店に寄る。今日の着物を別のお店で見つけて私のために確保してきてくれた担当さんから、着姿を見たいとお願いされていた。コーディネートも喜んでもらえたし、あらためて写真も撮ってもらったし。着た甲斐があるというもの。


パイロールが効いたのか、カカトの痛みがほとんど消えている。えらいぞっ! パイロール!