まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

大道具さん大忙し

maru992005-02-25

朝から仕事のメールが相次ぎ、PCから携帯に転送をかけているので着メロが鳴り続け、PCの前を離れられない。固定電話に勧誘の電話も何度か。普段あまりないんだけどなぁ。こんなに電話やメールが集中するのって珍しい。中には新たに仕事を頼みたいというありがたいメールもあったが、徹夜が必要なぐらい忙しい日が続くこともあれば、ぱたりと依頼が途絶えて何日か遊んでしまうこともあり、お引受できるかどうかはそのときの都合次第であることを説明し、ご了解頂く。なんのことはない、その状況自体が事務所にいるときと同じなんだけど。

バタバタと慌しく動き回っているうちに、あっという間にタイムリミット。今日は無事に開演10分前に到着。昨日に続く最前列で、隣りの隣りの席にはまだ4つか5つぐらいの男の子。こんな小さいうちから歌舞伎座一等席かぁ。すごいなぁ。そうかと思えば左隣りは、思い切り私の足を踏んでおいて知らん顔の失礼なオバサン。ふぅ。

今日の最初の芝居は、「ぢいさんばあさん」 というほのぼのとしたドラマで、最近は玉三郎仁左衛門のコンビが多かった。相手役が代わっても玉三郎は同じ。それが今日は菊五郎で、玉三郎の方がきれいには違いないのだけれど、菊五郎の方がいかにも歌舞伎の女形らしい味わいがある。この辺が歌舞伎の不思議な面白さ。芝居が進むにつれて、だんだんこみ上げてきてビックリ。もう何度も見ているこの芝居で、まさか今さら泣かされるとは思っていなかった。

2つめは、現在の歌舞伎界に7人いる人間国宝のうち5人がそろい、合計の年齢が380歳という前代未聞の舞台。なんかもう、「すごいものみちゃったなぁ」 としか言いようがない。最年長84歳の雀右衛門と76歳の芝翫が2人とも20歳になるかならないかの娘役を演じ、73歳の鴈治郎との三角関係を描く舞台を、まだ4歳か5歳の男の子が身を乗り出して見ている。この 「野崎村」 という芝居、よく出る割にあまり面白いと思ったことがないのだが、さすがに芸の力か、いつもは疑問に感じてしまう幕切れにも共感できて、ようやくこの芝居に納得がいった … ような気がする。

最後は 「二人椀久」 という踊りで、「野崎村」 で芝翫の父親役を演じた75歳の富十郎雀右衛門の 「トミー&ジャッキー」 コンビの名舞台が忘れられない。その踊りを今日は仁左衛門が息子の孝太郎と踊る。「白い巨塔」 に医師役で出演していた孝太郎。おとなしい芸風の人だが、花魁姿はなかなか妖艶で、美しさでは文句なしの仁左衛門との舞台はまさにうっとりとするばかり。でも隣りの隣りの男の子には踊りはちょっと退屈だったみたい。

千秋楽の夜の部。今月は、いとしの左團次さんは昼の部だけだったんだけど、歌舞伎の妙味ではだんぜん夜の部だったな。幕間に、定式幕の向こうではドタンバタンと大きな音がして、大道具さんたちが次の舞台の支度をしている。若手を叱る声が飛んだりして、その気配をきいてるのが好き。

さぁ、明日はお客様をお迎えする日だ。まずは今までと違うレシピでシフォンケーキを焼く。これはバースデーケーキになる予定。オーブンで焼いてる間に根菜の煮物を作る。お鍋の箸休め。めっちゃ手抜きばっかりだけど、まぁ、どうにかなるっしょ!