まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

懐かしいはずの場所

maru992005-01-22

伯母が板橋区内に持っていたささやかな家作の店子さんが30年ぶりで代わることになり、名義変更の手続と不動産屋さんへのご挨拶に、埼京線で板橋に向かう。遠い昔、我が家は下板橋にあって、板橋駅前の伯母の家を週に何度も訪ねていた。でもそれから長い長い時が経ち、駅前の風景はすっかり様変わりして、ほとんど初めて訪れる場所のようだと思いながら歩いていると、「金龍」 という中国料理のお店が目に入った。ということは、隣りにある居酒屋さんが店子さん。この場所で伯母は昔、本屋を営み、私は遊びに行くたびに少年マガジンとかキングとか、漫画週刊誌をひととおり読ませてもらっていた。金龍さんは中国人の一家で、お父さんのアッテー、お母さんのアムー、お姉ちゃんのアッシッシーやお兄ちゃんのテルちゃんにかわいがってもらった。アッテーはよく私のためにメニューにはない特製オムライスを作ってくれた。でもこんなに小さいお店だったかなぁ…。残念ながらまだ営業していないらしく店内の様子は分からなかった。

その真ん前にめざす不動産屋さんはあった。ちょうど新しい店子さんとの話が終わったところで、私は家主として紹介され、挨拶を交わし、新しい店子さんはすぐに帰ってしまい、お土産に持参したスイートポテトを渡すタイミングを逸してしまった。ご夫婦で営んでいる小さな不動産屋さんで、ご夫婦ともに幼い日の私を覚えているという。若き日の母に手を引かれて、いつもニコニコしていたそうだ。「お母さんと伯母さんと、この辺りじゃ有名な美人姉妹でねぇ」 とおだてるように言ってくれるが、この2人、実はこの頃、連日パチンコ通いをしていた。それも有名だったようだが。

居酒屋を閉めて帰郷するというこれまでの店子さんにもご挨拶に行き、店内を見せてもらった。確かに1500万円もかけて直してくれただけあって、古さをまったく感じない。「伯母様のおかげで30年やってこられました」 と頭を下げられ、恐縮する。感謝するのはこちらの方だもの。「伯母さんがあんまりいい人だからさ、わずらわせちゃいけない、と思っちゃうんだよね」 と不動産屋さんは言う。本来なら家主の責任である大規模修繕は店子さんが、小規模修繕は不動産屋さんが費用を負担してくれた上、店子さんが現金で持参する家賃を不動産屋さんが手数料を負担して振り込んでくれていた。毎月の手数料は小額でも30年となると一体いくらになるのか。店子さんの交代を機に、今後は新しい店子さんが手数料負担で直接振り込んでくれるらしいのでホッとしたけれど、これまでの負担についても、「こっちが勝手にしたことだもの。あなたに請求する気なんかまったくないよ」 とカラカラと笑って下さるのだった。伯母ちゃん、本当にいい人たちに恵まれていたんだねぇ。

契約書等にサインしたあと、まったく関係ない話がとりとめもなく続いて、失礼するまでほぼ3時間。その間に仕事のメールが届いていた。例の裁判書類だ。とりあえず帰宅してから、とメールして、急いで帰る。

途中でクリーニング屋に寄り、コートを受け取る。藍染のショルダーバッグで色がついてしまった部分、きれいに落ちていた。やった〜! まだ新しいコートだから落ちたんだって。これからは気をつけよう。

幸い仕事は修正だったので、2時間ほどで終了。送る際、明日からしばらく仕事はできないことを書き添える。怒涛の歌舞伎三昧だから、とはもちろん書けない。

浅草に続く今月2度目の芝居は歌舞伎座の昼の部。それだけじゃなくて、終演後に国立劇場に移って、稚魚の会という歌舞伎研修生が主催の新年会。これまではずっと夜まで歌舞伎の日とぶつかってしまって、一度も出席できたことがなかった。せっかくだから着物で行こうっと♪