まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

初芝居♪

maru992005-01-21

今年の初芝居は浅草公会堂。昼夜通しなので朝から身支度をしているところへ、夕べの日記を読んでくれた歌舞伎のお仲間から、「今日は私も浅草です!」 というメール。偶然にも席もすぐ近くで、うれしいご縁に驚く。これも日記の思わぬ効用。

浅草では開演前に日替わりで役者のひとりが素顔で舞台挨拶をする。この日の昼の部は中村獅童で、登場した途端、会場の若い女の子たちから声がかかる。歌舞伎役者の挨拶といえば羽織袴で平伏し、あらたまった言葉で終始するのが伝統的なやり方なんだけど、若手ばかりの浅草は違う。獅童はいきなり立ち上がって客席に拍手を要求し、ほとんどコンサートのようなノリ。夜の部に挨拶した中村亀鶴も、会場から女の子をひとり舞台にのせ、歌舞伎風の挨拶をさせたりして、みんなそれぞれに工夫しているらしい。伝統を重んじる方々からは批判もあるかもしれないけれど、浅草はこれでいい。若手ばかりの舞台に対して客席が求めているのは型にはまった伝統の踏襲ではなく、完璧な演技でもなく、ひたむきな熱意と若いエネルギーがぶつかりあう一瞬一瞬を共有することなのだから。

昼の部と夜の部と同じ演目を別の配役で演じる。昼夜通しで観ると比較がしやすい。今年こそ、観劇の記録をHPにアップするつもりでいるので、詳細はそちらに譲ることとして、特に夜の部最後の 「梅川忠兵衛」 は予想外の上出来で、大御所が演じる舞台に勝るとも劣らない感動的な舞台だった。いやぁ、これほど魅せてくれるとは。大満足!

今月は左團次さんが歌舞伎座と演舞場を掛け持ちだから、番頭さんもてっきり左團次さんに張り付いているだろうと思っていたのに、意外にも浅草にいらした。左團次さんのご子息である男女蔵さんも浅草歌舞伎の重要なメンバー。昼の部の五郎蔵はもともとニンにある役だから納得の出来。まったくの予想外だったのが夜の部の八右衛門。みんなに嫌われるイヤ〜な男の役を見事にイヤ〜な男として演じつつ、愛嬌もあって、すごくよかった。

浅草の芝居はほぼ6時に終演と早いので、朝メールをくれたお仲間と一緒に、まずは神谷バーへ。生ビールで乾杯したあと、なつかしのデンキブランを楽しむ。酔っ払いのオジサンが話しかけてきたり、お店からもう飲ませないようにとお達しが出ている常連のオバアチャンがいたり。いかにも浅草っぽい雰囲気がたまらない。このオバアチャンは、近くにいたサラリーマンによると、若い頃はロック座で踊っていたストリッパーだったそうなのだけれど、本人はロレツの回らない口で 「踊ってなんかないよ!」 と怒っていた。すでに自分が上野にいるのか浅草にいるのかも分からない様子だったけど、ちゃんと帰れたかなぁ?

神谷バーの閉店後、和民に場所を移して、引き続き語る語る。歌舞伎の話にとどまらず、彼女にすっごく励まされ、エネルギーを補給してもらった。日付が変わるまで話していたのになお話したりない気分。今回は間違って銀座線に乗ることもなく、無事に終電の1つ前の電車で帰宅。次回はぜひ私も着物で!