まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

幾何学模様

maru992008-10-17

昨日の平成中村座に続いて今日は国立劇場。夜の部で4時半からだから今度こそ着物を着ようかと思ったのだけれど、誰にも会う予定ないしなぁ。別に見せたくて着るわけじゃないんだけどさ、長いブランク明けとなるとそれなりのモチベーションがないといまいちヤル気が出ないのよ〜。


夕方までたっぷり時間があるはずだったのに、ああだこうだと動き回っているうちに、あっという間にタイムリミット。3時すぎに家を出て半蔵門へ。劇場に着いたらまず夕食の手配。いつもはオニギリ弁当で済ませちゃうんだけど、各食堂のメニューをチェックしたら、オリジナルビーフシチュー千円也を発見。試しに予約してみる。


客席に入ると、いきなり目に飛び込んできたのがNHKの葛西聖司アナ。いろんな人に次々に挨拶されながら、にこやかな笑顔を絶やさない。今日も奥様ご一緒かな? 開幕直前、ほぼうまった客席をぐるりと見渡すと、普段の歌舞伎座よりも年齢層が高く (もっとも歌舞伎座でも吉右衛門がメインの月はその傾向が強いように思うんだけど)、史劇のせいか年配の男性が多い。中村座とはまるで対照的なのが面白い。


北條秀司十三回忌追善興行で、井伊直弼の半生記ともいうべき 『大老』。雛飾りが印象的な 『井伊大老』 の方が先に発表・上演され、これをもとにさらにふくらませたのが本作で、直弼がまだ部屋住みの時代から桜田門外の変に倒れるまでを描いた長編。直弼が外敵に屈した国賊として非難されるきっかけとなったアメリカとの条約調印は、この作品では、直弼がなんとか勅許を得ようと努力している最中に部下がアメリカ側に押し切られて調印してしまったことになっている。これは作劇上の都合としても、事前に諸大名を登城させ調印への同意を得なかった史実は直弼の落ち度であり、それが直弼の苦悩の始まりとなった、との筋書の解説で、直弼ひとりが悪者にされたかのような歴史の展開にようやく納得がいった。現代と違って限られた情報しか手に入らない中、それぞれに国のためによかれと思っているはずが、竜馬のように世界の中の日本が見えていた人はほんのわずかで、多くは藩どうしの争いに終始し、開国論者は国賊と決め付けられる。そのような状況で幕府を背負い舵取りをしなければならなかった井伊直弼。「わしは悲しい旗印じゃ」 という台詞が印象に残り、筋書と一緒に買った台本に赤線を引いた。


休憩をはさんで4時間半の長丁場。「お正月の長い時代劇みたいだな」 って、オジサン、それはあんまりだ。大詰めの 「桜田門外の場」 の直前では、「あとは殺されるだけだろ?」 「そう、あともう5分のガマン」 って、ひどすぎる〜! 吉右衛門の直弼ははまり役だし、他の役もそれぞれに良くて見ごたえたっぷりなのに。確かに長いし、普段は暗殺前夜の一場面だけを描く 『井伊大老』 しか上演されないのは興行的に妥当なことで、それをあえて長編を上演するのが国立劇場の意義。帰りの電車で台本をじっくり読んだら、実際には上演されなかった場面もあって、そこが削除されたことにも納得がいった。こんなふうにあれこれ考えさせられる舞台って、それはそれで貴重だと思う。観てよかったぁ。ビーフシチューも美味しかった♪


劇場を出てケータイの電源を入れると、途端に7通ものメールを受信。あうう。読みたくないけど読まざるを得ない。2つの事務所からほとんど同時に重いファイルが添付されたメールが届いたらしく、どっちも送信エラーになった結果、何度も再送されたらしい。ページ数が多すぎてケータイでは確認できないから保留。


帰宅してからファイルを開いてみたら、片方は夕べ1ページだけの書類を依頼してきたクライアントからで、同じ案件の追加が80ページ余り。なんじゃそりゃあ! でもその前に別のクライアントから、以前から続いている訴訟の追加書類が4つ。合計80ページ余り。分量も締切もほぼ同じなんだよねぇ。でもまぁ、訴訟の方が先に受信しているし、何か月も携わってきている案件だから、こちらを優先するっきゃないな。その旨を双方のクライアントにメールすると、訴訟の方は即レスがきたけど、もう片方は返信のないまま週末に入ってしまいそう。私が受注できると思っているだろうなぁ。申し訳ないけど、身体は1つしかないから、いかんともしがたい。


仕事をスタートしてしまうと他のことができなくなってしまうので、まずは手織の宿題を仕上げてしまおう。なかなか幅がそろわなくてまたほどいたりしたけど、太目の木綿糸だから進むのが早いし、長さもそれほどではないので、朝までかかって一気に完成! 頑張りました〜!