国立劇場の歌舞伎俳優養成研修を修了した人たちの「稚魚の会」と一般の名題・名題下俳優の「歌舞伎会」との合同公演も今年で30回目。国立劇場の閉場で、今までの国立小劇場から浅草公会堂に場所を移しての公演となった。
10時半の開場にちょうどいい時間をめざして浅草に着くと、仲見世は大混雑! 外国からの観光客で大賑わい。少しでも人混みを避けようと路地を通ろうとしても、その路地にも新しい店があちこちにでき、すでに行列もあって、公会堂に着くまでがもう大変。
稚魚の会を応援する「友の会」で取ってもらったチケットは7列目のほぼど真ん中。隣りの数人が出演者の家族や知り合いらしく、お父さんらしい人があれこれと説明していて「息子の出番はちょっとだけなんだけど」と言いながら、とっても嬉しそうで微笑ましい。
最初の演目は、通称「吃又」。本興行でもおなじみの演目で、吉右衛門の当たり役だった又平を弟子の吉兵衛が演じ、女房おとくを竹蝶。二人とも、もうすっかりベテランだから、落ち着いて見ていられる。若手ばかりだから、老け役でも老けて見えないのは仕方がないとして、音蔵の将監は声も口調も重々しく、小柄なのに貫禄もあった。春希の北の方、蝶也の修理之助、桂太郎の雅楽之助も好演。冒頭に出てくる百姓たちが虎に怯える場面では、わなわなと身体を震わせている人といない人、ちらっと客席を見てしまう人もいて、要修行なのはまだ研修中の人たちかな。
ここでランチ休憩。ところが、場内は飲食禁止なのに休憩所は席が少なく、他に食べる場所もなく、窓際で立ったまま食べるしかなかった。私はおにぎり持参だから立ったままでもどうにかなったけれど、お弁当を買った人は困っていたみたい。
「太刀盗人」の盗むほうを新次、盗まれるほうをやゑ亮、目代とその従者を扇五朗・松三。こういうおかしみのある舞踊劇は、そのおかしみをおおらかに見せるのが難しいんだけど、近年の合同公演はぐんぐんとレベルアップしていて、皆さん、本当に「卒なく」やってのける。その卒のなさからそれぞれの個性がにじみ出るところまで行くのが大変なんだけどね。
最後は「乗合船恵方萬歳」。萬歳の二人組、白酒売、芸者、大工、若旦那、田舎侍、子守、鳥追い、女船頭と通人が船に乗り合わせることになり、それぞれの舞踊と総踊りを披露するという、合同公演にはうってつけの演目で、華やかに幕。
終演後、せっかく浅草まで来たので、浅草寺にお参り。午前中よりは人が少ないように感じたけれど、それでもかなりの人手。
帰りに北千住駅構内のスタバに寄り、コールドブリューコーヒーを楽しみながら、図書館で借りた芦沢央さんの「悪いものが来ませんように」を読み終えた。とんでもない仕掛けが隠されていて、読み終えたあと、しばし呆然。これは … 明らかになった事実を踏まえてもう一度読みたくなってしまうではないの。
さらにマルイに寄り、オカダヤで茶色いリボンを買い、カルディでもあれこれと買い込み、帰宅したのは18時すぎ。
夕食を適当に済ませてから、録画してあったヘンデルのオペラ「シッラ」を観る。上演回数が少なく、日本初演。歌舞伎の衣装や化粧を大胆に取り入れ、装置はごくシンプルで、特に有名なアリアがあるわけじゃないんだけど、全体的にヘンデルらしい調和の取れた音楽で、キャストの力量が半端なかった。
実は今日使うつもりだったバッグの持ち手が傷んでいることに気付き、別のバッグを使った。持ち手が傷んでいたのは、近くでよく見ないとムーミンのキャラクターが散りばめられていることに気付かれないお気に入りのバッグ。構造的に持ち手をはずしてツケ直すのは難しそうなので、持ちての部分にリボンを巻きつけることを思いつき、ちょうどよさそうな幅のリボンを3mカットしてもらった。半分に切り、ボンドを垂らした持ち手の上に斜めに置いて、クルクルと巻いていく。ボンドが乾けば問題なく使えそう。3mで過不足なし。ほんの数センチ分しか余らなかった。危なかったー。