まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座へ

今月の歌舞伎座は、通しでチケットを取っていた日をもっと先だと思って見逃してしまうという大ポカをやらかし、三部だけはどうしても観たくて今日のチケットを取り直した。木挽町広場には、最初に取ったチケットの日付の前日に東劇でMETのライブビューイングを観たときと同じようにお雛様が飾られていて、そのときに写真も撮っていたので、撮り直すことはしなかった。

これから観る三部の仁左衛門の写真を1枚だけ買い、開場の時刻までタリーズで「めぐりあう時間たち」の原作本を読み耽る。

「亀山の仇討」と呼ばれる史実をもとにした「霊験亀山鉾」で、仁左衛門は、水右衛門と八郎兵衛という2人の悪役を一世一代として演じる。つまりこれが最後。これまで仁左衛門以外に手掛けた者がいない作品だから、今後まったく上演されない可能性もある。そんな貴重な舞台なのに、良席だった最初のチケットを無駄にしてしまったことが今更ながらに悔やまれる。取り直したチケットは最前列の右端から2番目で、舞台をかなり斜めから観ることになり、左隣の席の男性が「ここ、見えるかねぇ?」ときいてきたぐらいだったんだけど、始まってみると、意外とよく見えるし、いつもと角度が違う新鮮さもあり、なかなか良かった。

大詰で仇討が行われる日は亀山曾我八幡宮の祭礼の日で、曾我兄弟の加護で仇討の大願が成就することをタイトルの「霊験」が示していて、この祭礼を彩る山鉾も登場する。水右衛門が刀を振り上げた瞬間、その霊験が現れ、水右衛門は刀を振り下ろすことができず、仇討は成功。さすが南北と言うべきか。

2人の悪役について仁左衛門は、水右衛門は陰、八郎兵衛は陽だと語っている。まさにその通りで、その演じ分けが素晴らしく、早替りも披露。どちらも魅力的だったなぁ。観ることができて、本当に良かった。

帰りの日比谷線で「めぐりあう時間たち」を読了。歌舞伎もオペラも素晴らしすぎるから、エンタメ係数を下げるのは難しい~。