午前中に2つ目のファイルの和訳を終える。ここまではいいの。このあとがページ数の多いファイルばっかり。
あみぐるみの残り3本の脚としっぽを編み終え、すべてのパーツが出来上がったので、あとは縫い合わせていくだけ。ここで、あみぐるみワンコには使わなかったテクノロートという形状保持材を使う。扱ったことがないので苦戦したけれど、なんとかニャンコになった。マンダレイという短毛種なので植毛はせず、モヘアを混ぜてある編地を直接スリッカーブラシで起毛しただけ。形状保持材のおかげでポーズを変えることもできる。ただ、ちょっと耳が大きすぎるかなぁ。本の指定と違うかぎ針で編んだからねぇ。
そうこうしているうちに家を出る時間。近所のガストで、すっかりお気に入りの参鶏湯定食で腹ごしらえをしてから、池袋の東京芸術劇場へ。すでに開場しているのに長蛇の列ができていて、当日券のキャンセル待ちだときいてビックリ。公式サイトからの先行抽選に当たった席はW列で、劇場のサイトの座席表にはV列までしかなかったから、パイプ椅子かなにかの補助席かと思ったら、V列までと同じ座席がプラスされていた。最後列でも見やすい席で、通路ぎわなのも幸い。立見席もびっしりだった。やっぱり人気なんだなぁ。なんたって中村倫也くんがあのベートーヴェンを演じる舞台だからねぇ。
もとは韓国で、小さな劇場で演じられていた作品だったそうで、日本版の演出は河原雅彦さん。可愛らしい子役さんと倫也くんと、ワンピース歌舞伎でエースを演じていた福士誠治さんの3人がルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンを演じ、福士さんはルードヴィヒの甥っ子カールも兼ねる。3人がそれぞれの時代を個別に演じるのではなく、自己と語り合うように同時に舞台に立ち、ミュージカルなのでともに歌う場面も多い。他にも、ルードヴィヒと交流のあった女性やのちのシューベルトなども登場するのだけれど、オペラグラスが必須の遠い席だったこともあり、常に倫也くんだけに釘付けになっていた。だって表情や動きが素晴らしいんだもの。特に聴力を徐々に失っていく恐怖。それは耳鳴りから始まり、他人事は思えないこともあり、倫也くんが全身で演じる苦悩と慟哭に心を奪われ、気がつけば涙が流れいていた。演じているだけでメンタルがやられてしまうんじゃないかと心配になるほど辛い場面が続く。
ルードヴィヒが聴力を失っても作曲を続けていけると自信を回復したあとは、カールを意のままにしようとする独りよがりの勝手なおじさん。ついさっきまでの深い苦悩とはまったく別の表情を見せてくれる倫也くん。いやぁ、やっぱりすごいわ。演技だけでなく、あの伸びやかな声。どの衣装でも素敵だし。歌舞伎座ではもう何年も筋書きを買っていないのに、2500円もする豪華なパンフレット、買っちゃった。今さらながら、希少なチケットが当たってよかったー!