7月の歌舞伎座はクラスターの発生で途中で公演中止になってしまい、私も観ることができなかったのだけれど、感染してしまったひとりの中村米吉さんがインスタライブをアーカイブ配信していたので見てみた。療養の様子や現在の体調、公演中止の無念さ、菊之助の教えを受けて演じていたナウシカへの思いなどなど、1時間半近くもの間ずーっとひとりで喋りっぱなし。その声や口調が耳に心地よく、こんなにお話が上手でしかも面白い人だったのね、と感心してしまった。月半ばに試験的に録画されていた映像が配信されるそうだけれど、いつかぜひ再演してほしいなぁ。
予約してあった2冊の本を受け取りに図書館へ。1冊目は「手織り入門」で、とある手織作家さんのブログに「咲きおり」という商品名の卓上手織り機なら8枚綜絖の織り図でも織ることができると書かれているのが気になり調べてみたところ、この本に「咲きおりならでは」の織り方が紹介されていることが分かり、借りてみることにした。ところが、表紙にもパラパラめくってみた中身にも見覚えがある。ひょっとして…持ってるじゃん! やぁねぇ。
私が使っている織り機は、櫛の歯のように並行に並んだ板と板の間に経糸を通す筬を用いるもので、ごく一般的。これに対し「咲きおり」は、板状の筬に刻まれた溝に経糸を挟むタイプで、普通の筬と違い、織っている途中でも溝から経糸をはずして移動させることができるのが特徴。「咲きおりならでは」の織り方のページをじっくり読み、この仕組を活用すれば8枚綜絖の織り図に対応できることは理解した。ただ、私がここ何回かトライしては挫折している8枚綜絖の織り図の場合、咲きおりを使用したとしても、数段ごとにすべての経糸を移動させる必要が生じるので無理がありそう。
2冊目は、「相棒」の再放送をきっかけに辞書編集者である飯間浩明さんのツイートをチェックして知った本で、予約した日の日記に井上ひさし「国語辞典殺人事件」と描いているのだけれど、受け取ってみたら「国語事件殺人辞典」の間違いだった。「国語辞典殺人事件」のほうが自然だよねぇ? その謎は、読んでみてのお楽しみ。
図書館前の小さな公園に向日葵が咲いていた。
「鎌倉殿の13人」は、だんだん辛い話になっていくねぇ。
そのあとEテレで、6月博多座の「橋弁慶」と「すし屋」を観る。菊五郎のいがみの権太はやっぱり当代随一だなぁ。平維盛の妻と息子の身代わりに自分の妻子を差し出し、花道を引き立てられていく二人を見送る表情が秀逸だった。橋弁慶には義経が、すし屋には梶原景時が登場し、期せずして「鎌倉殿」につながる2作品。