まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

今月の歌舞伎座は「團菊祭五月大歌舞伎」。團菊祭と銘打っての公演は3年ぶり。コロナ禍がなければとっくに團十郎が誕生していたのにねぇ。

申し訳ないけど第一部はパスし、歌舞伎座近くの「ジュー・ザ・バーガー」でBLTバーガーとポテトのセット。どこで何を食べるか迷ったんだけど、あんまりがっつり食べちゃうと寝落ちのリスクが高まるから。特にお米のご飯は睡魔を呼びやすい気がする。

14時半からの第二部が團菊祭のメイン。まずは海老蔵が10か月ぶりの歌舞伎座で「暫」の鎌倉権五郎を演じる。オリンピックの開会式でも披露した大掛かりな拵え。独特な鬘を含め、この拵えがこれほど似合う人は(当代では)他にいないんじゃないかなぁ。眼力強く声量もたっぷりで、圧倒的な存在感。敵役の親玉を左團次さん、その配下の「腹出し」のリーダー的存在を男女蔵さん、権五郎が仕える加茂次郎の家臣のひとりが男寅さんと三代が揃い、敵役配下の四天王のひとりが左升さんで、男女蔵さんの後見は蔦之助くんと、お弟子さんもそれぞれに活躍。残念だったのは、冒頭、花道での奴たちの渡り台詞が早口過ぎて、内容がほとんど伝わらなかったこと。どうしてあんなに急いじゃったんだろう。もったいない。

続く「土蜘」では、菊五郎源頼光菊之助の土蜘蛛の精、丑之助の太刀持ち音羽屋三代が揃うだけでなく、時蔵の胡蝶、梅枝の巫女榊、小川大晴くんの石神実は小姓とこちらも三代。海老蔵の陽に対して菊之助は陰。太陽と月。まさに対照的。「暫」では剽軽者の入道を演じていた又五郎がこちらでは平井保昌に大変身。後半、菊之助が僧の姿から蜘蛛に変じての立ち廻りで繰り出す蜘蛛の糸がその流れといい、後見さんたちが巻き取る手順の素早さといい、いつも以上に美しかった。

第二部が終わり、後列からの整列退場の順番を待つ間に、ふと気付く。偏頭痛が消えてる! よく寝たのと、昨日ホットヨガに行ったのが良かったのかしらん。

地下の木挽町広場に降り、タリーズでツナチェダーメルト。寝落ちのリスクを軽減するためとはいえ、2食続けてジャンクっぽくなっちゃった。口角炎はまだ治っていないので、口を大きく開きすぎないように気をつけながら食す。

第三部の初めは、梅玉、莟玉、隼人の3人だけで「市原野のだんまり」。わずか15分の短い幕で、事前に予習しなかったので3人の関係性が分からないまま終わってしまったのだけれど、あとで調べてみたら、平井保昌と鬼童丸に盗賊が絡む舞踊で、平井保昌は「土蜘」に出てきたし、鬼童丸は酒呑童子の息子で、牛を殺してその体内に隠れて源頼光を襲おうとして見破られ、殺されたのだという。なるほど、鬼童丸は黒い牛の頭を手にしていた(やけに可愛かったけれども)。「土蜘」に関連する舞踊だったのねぇ。

続いて「弁天娘女男白浪」。「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の中から弁天小僧が登場する「浜松屋店先の場」と「稲瀬川勢揃いの場」だけを続けて上演する場合にこの外題が用いられる。これまで様々な配役で何度も観てきたけれど、今回はぐっと若くなり、彦三郎の日本駄右衛門、右近の弁天小僧、隼人の忠信利平、米吉の赤星十三郎に巳之助の南郷力丸(勢揃いの場の並び順)。店先の場では、武家の娘とその従者に化けてゆすりに来る弁天・南郷の若いコンビを熟練した番頭の橘太郎、店主の東蔵が支える。橋之助の鳶頭が意外に良かった。手代は彦三郎の息子の亀三郎くん。

もうね、とにかく若さがエネルギーとなってほとばしっているような、観ていてとても気持ちの良い舞台。勢揃いの場では、5人とも風姿だけでなく声もいいから、目も耳も大満足。楽しかったー。

木挽町広場には、右近が筆を入れた傘が飾られていた。

幕間でも読み進めていた文庫版「死刑にいたる病」を帰りの地下鉄で読了。映画では描かれなかった部分も少なくないので、読んでよかった。

帰宅後、全仏オープン3日め。この大会を最後に引退する地元フランスのツォンガがルードと対戦中。ハードな打ち合いで脚も肩も傷め、最後のほうはもうダッシュでボールを追うこともできない状態なのに、少しでも長くコートにいようとするかのように必死でプレイするツォンガの姿に観客は熱い声援を贈り、私も胸が熱くなった。セットカウント1-3でルードに敗れた後、引退セレモニー。ツォンガのチームや家族のほか、同じフランスのシモン、ガスケ、モンフィスも駆けつけ、感動的だった。