まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

歌舞伎座

9時半頃には家を出たいので、余裕を持って8時にアラームをセットし、目が覚めたはずだったのに、うっかり二度寝をしてしまい、起きたら9時過ぎ! 慌ただしくわずか15分で身支度を済ませ、駅へと急ぐ。

歌舞伎座四月大歌舞伎、今日は第一部から第三部までぶっ通し。その第一部は「天一坊大岡政談」で、将軍様のご落胤だと称して世を騒がせた実在の天一坊を猿之助、その裁きをつけるお奉行様の大岡忠相松緑。史実では大岡様はこの件に関与していないらしいけどね。

真っ赤な偽物だという証拠が見つからず、大岡が責任を取って妻子とともに切腹しようと白装束で、刃を突き立てようとする、その瞬間に探索に出ていた家人から吉報が届く。さすがに都合が良すぎるんじゃ? とか妻子まで道連れにしなくても、とか、芝居なんだからそんなこと考えちゃいけないんだけども、やっぱりねぇ。

第2部までの1時間ちょっとは木挽町広場のタリーズで過ごし、第2部の最初は幸四郎の「荒川の佐吉」。この役はなんといっても仁左衛門の印象が強く、仁兵衛親分は芦燕さんの姿が忘れられない。幸四郎の佐吉も風姿の良さに加えて子煩悩さが自然に出ていて良かった。右近の辰五郎との掛け合いもいい。島田正吾も演じたことがある相政を白鸚

初演の佐吉はかの15代目羽左衛門。最初はみすぼらしくて、最後にパーッと花が咲くような潔い男の芝居がしたい、という羽左衛門の希望に応じて真山青果が書いたという。まさにそういう芝居。

義経千本桜をもとにした所作事「時鳥花有里」がつき、第二部は終了。

再び木挽町広場に降り、歌舞伎茶屋でレモンうどん。から揚げは揚げたての熱々で、冷凍のレモンをつゆに浸して溶かしながらどうぞ、と言われたんだけど、冷たいうどんだからつゆも冷たくて、そう簡単に溶けない。冷え冷えのうちにかじっちゃった。

第三部は今日一番のお楽しみ「ぢいさんばあさん」。様々な顔合わせで何度も観ている作品なんだけど、それでもこみ上げてくるものが…。ふとしたことで37年も離れ離れに暮らした夫婦。再会の場面では二人とも真っ白な髪でいかにも老人らしい立ち居振る舞い。でも20代の初めに結婚したとしたら還暦にもなっていないんじゃ? そう思って調べてみたら、作者の宇野信夫がもとにした森鴎外の原作によると、伊織が三十にもなってひとりでいるので伯母が世話をして嫁いできたのが29歳のるんで、再会のとき、伊織は72歳、るんは71歳だったそうな。自分よりずっと年上と分かってホッとする。別に老いに抗うつもりはないんだけどね。

休憩をはさんで舞踊の「お祭り」。玉三郎が老女から艶っぽい芸者に大変身。今はまだ舞台に声をかけることができないから、かけ声なしで「待っていたとはありがたい」という台詞が入るのが寂しく感じた。いっそ別の台詞に変えたほうがいいんじゃないかしらん。

舞台写真の中から、まだ若い頃の伊織とるんのラブラブショットと、満開の桜をバックに構図がよかった辰五郎と卯之吉のツーショットの2枚を購入。役者の全身を写すことに重点が置かれているのか、なかなか構図のいい写真がないのよね。