まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

リゴレット

16時に献血の予約を入れておいた。献血前はしっかり寝ておかないといけないのに、ほぼ朝までテニスを観てしまったので、正午近くにようやく起床。脂っこい食事や乳製品は避けたほうがよく、ガストの「小丼と小さなおかずのランチ」ならネギトロ丼と若鶏の照り焼きだからちょうどいい、と食事を済ませたあと、電車の時間までニャンドゥティをチクチク。

電車の中では図書館で借りた「運命の絵」を読み、有楽町の献血ルームに到着。気温が低く、寒いと血管が縮こまってうまく採血できないことがあるので、問診前の水分補給には温かい飲み物を選び、血圧測定と問診を経て、予備採血。1週間ぐらい前に近所のスーパーのヘルスチェックコーナーでヘモグロビンの測定をしたら、びっくりするほど数値が上がっていたから問題ないはず。

ところが、ヘモグロビンの数値が12.4で、基準値に0.1だけ足りないから今日は献血できないと。えええ~っ! ここ3週間ぐらい毎日欠かさず鉄サプリ飲んでいたのに。1週間前の数値は何だったの??? その話をしたら、スキャンだけの簡易検査は精度が低いから、と一蹴されてしまった。たしかにヘルスチェックコーナーのスタッフも目安程度と言っていたけれど、それにしたって。今回は大丈夫、と決めてかかっていただけにショックが大きい。

このまま帰るのは残念すぎるので、東銀座まで歩き、まず東劇で18時半からのメトロポリタン・オペラ「リゴレット」ライブビューイングのチケットを買い、近くのスタバに落ち着く。献血後は倦怠感で眠くなる可能性があるから、別の日に来るつもりでいた。上演時間まで、ニャンドゥティをチクチク。

せっせと針を動かしている間にも、献血できなかったショックでもやもや。でも悪いことばかりじゃなく、もう何年も連絡がなかったクライアントからメールが届き、見積もり依頼。ひとつ片付いたばかりですぐに次の依頼が入るなんて、久しぶり。まだ書類は届いていないのだけれど、またしても急ぎの案件らしいから、忙しくなるかな。

東劇は今、座席の入れ替え中のため自由席のみ。劇場に入ってみると、後ろの左半分、全体の4分の1ぐらいの椅子がすべて撤去された状態。観客は私を入れて5人だけ。上演開始前はスタッフのほうが多かったかも。

リゴレット」は何度も観ているからそれほど期待していなかったのだけれど、バートレット・シャーの新演出がとても良かった。これまでの演出では、ジルダは公爵の屋敷に拉致されたあと、再び登場するのは父親の前で泣き崩れる場面。でも今回は、女性の召使いたちに服を脱がされ、純白の夜着に着替える間、抗うこともせず、公爵の胸に手を当て、肩を抱かれて寝室に誘われていく。乱暴されるわけではなく、合意の上であることをハッキリ示す演出は初めて観た。ジルダは父親の前でも取り乱すことなく、貧しい学生だと名乗っていた初恋の相手が既婚の公爵であったという嘘に傷ついているだけで、彼への想いは揺るがない。だから公爵に復讐するという父親を止めようとし、耳を貸さない父親にガウンを投げつけ、走り去っていく。被害者意識を感じさせないジルダの強さがその一途さにもつながっていて、とても魅力的だった。

物語の舞台を1920年代のドイツに置き換えていて、ルネ・ラリックが船内のダイニング用にデザインしたという照明を模した装置がとても効果的。女癖が悪い公爵を演じるのはピョートル・ベチャワで、彼は過去のシーズンで、ラスベガスに置き換えたネオンギラギラの現代版でも同じ役を演じている。声量といい声ののびやかさといい、ますます充実の時を迎えているねぇ。

午後に駅へ向かう途中で出会ったお花と、帰り道の夜桜。