まるぶろぐ

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合同公演

久しぶりに半蔵門国立劇場へ。第27回稚魚の会・歌舞伎会合同公演。いわゆる勉強会で、もう27回を数えるのねぇ。もうだいぶ昔になってしまったけれど、演劇専門誌にこの公演の劇評を書かせてもらったことも何度かあるので、思い入れが強い公演でもある。私はいったいいつから本興行以外にこの種の公演を観るようになったのだろうかと記録と記憶を遡ってみたのだけれど、正確には分からないものの、確かに観た記憶がある一番古い記録は平成9年の第21回稚魚の会(稚魚の会・歌舞伎会それぞれの単独公演と合同公演があり、回数はそれぞれ個別)で、「修禅寺物語」で今は市川左升を名乗る左團次さんのお弟子さん(当時は左十次郎さん)の頼家の凛々しさ、美しさが今も目に残っている。

今回の演目は「対面花春駒」「釣女」「魚屋宗五郎」の3つ。曽我物「対面」アレンジバージョンの「花春駒」は華やかそのもの。「釣女」では、右左次の大名某に古風な気品があり、新次の太郎冠者が難しい役なのに軽妙さが出ていたし、橋吾の醜女は、醜という字を使うことに抵抗を感じるぐらい、可愛らしかったー!

そして「魚屋宗五郎」。音蔵の宗五郎はさすがにまだ硬さがあるものの、酔ってからの難しい場面を一気に駆け抜けていく、その気迫。もうすっかりベテランの域の竹蝶が姉さん女房としてしっかり支えていたのも良かったなぁ。彌紋の三吉は愛嬌も元気も十分。酒屋の丁稚は米十郎で、子役が演じることが多いこの役で大いに客席をわかせていた。若手の勉強会だから老け役はどうしても違和感が出てしまうことが多いのに、梅秋の宗五郎父太兵衛は十分にはまっていたのが素晴らしい。

この公演は毎回、舞台から溢れ出てくる熱量に圧倒される。それが一番の魅力。

今年のパンフレットはシンプルなデザイン。マス目の中のイラストが演目にちなんでいるのが気が利いている。

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終演後には自宅の最寄駅まで戻り、コメダ珈琲で読書の続き。「仮名手本殺人事件」を一気に読み終えてしまった。それだけ面白かったんだけど、一点だけ疑問が。以下ちょっとだけネタバレしちゃうけれども、重鎮の毒殺で大騒ぎになった直後に、客席の最前列、花道の下の通路でも観客のひとりが死んでいるのが発見される、ということになっている。でもね、あの場所は最前列から丸見えだし、あそこを通って自分の席に行こうとする人もいるから、あんな場所に誰かが倒れていたら、開演まで誰も気付かないなんてことはあり得ない。そこだけが残念。