まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

国立劇場

四部制が続いている歌舞伎座と違い、国立劇場は昼夜の二部制。すでに席数制限を撤廃した映画館とは異なり、歌舞伎座国立劇場も依然として1席ずつ空けているから、採算が合うのかどうか心配な状況ではあるものの、無事に興行が続いていることに感謝。

国立劇場のすぐ近くですれ違った人 … 時蔵さん? 帽子とメガネとマスクでほとんど隠れていたけれど、多分、間違いないと思う。ご本人は出演されていないものの、お孫さんが初お目見得だから、それでいたしていたのかも。

第一部は「平家女護島-俊寛」。鬼界ヶ島の場だけならもう何度も観ているからパスしようかと思ったんだけど、六波羅清盛館の場がつくというので観ることにした。吉右衛門が清盛と俊寛の二役を、また菊之助俊寛の妻東屋と丹左衛門の二役を兼ねる。それぞれに拵えを替える都合上、30分の幕間が入る。その間に、図書館で借りた本を読み耽る。

鬼界ヶ島の場はいつもどおりに進んでいく。ただ最後の最後、都に帰る船を見送り、ひとり残った俊寛の幕切れの表情になんとも言えない味わいがあった。早々に拍手を始める人がいて、ちょっと待ってよー、と言いたくなったぐらい。もう少し静けさの中で余韻を味わいたかったのにー。歌六の教経、雀右衛門の千鳥、錦之助の成経、吉之丞の康頼、又五郎の妹尾ほか。

14時20分の終演後、第二部は16時半からで2時間以上もあるので、まずは甘味処おかめで甘辛弁当 ♪

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ゆっくりじっくり味わい、食べ終わる頃に入っていらしたのは、ポアポアで明るい色の髪に赤いメガネ … 小朝さん!

お茶だけで居座るのも申し訳ないので会計を済ませ、お堀端をテクテクお散歩。せっかくの紅葉はどうしても逆光になってしまい、スマホではキレイに撮れなかったけど、あちこちで写真を何枚か。

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国立劇場に戻り、第二部。初めは「彦山権現誓助剣-毛谷村」。仁左衛門の六助が素晴らしい。風姿の良さは言うまでもなく、明るくて優しくて温かい。吉岡一味斎の門下だった六助が助けた幼子は実は一味斎の孫で、演じるのは初お目見得の梅枝の長男、小川大晴くん。可愛らしく、演技もしっかりしていた。一味斎後室お幸を東蔵さん。お元気そうでなにより。一味斎娘お園は孝太郎。父親を相手に「私が女房じゃ」と口説きかかるのは照れくさくないかしらん、なんて余計なことをつい考えてしまう。敵役の弾正を弥十郎。弾正に母を殺されてしまう杣右衛門を彦三郎。それぞれに好演で、充実した一幕。

幕間を挟んで、舞踊が2つ。梅枝の「文売り」は艶やかで、鷹之資・千之助の「三社祭」は若々しくキビキビしていて息もピッタリ。見ていてとても気持ちが良かった。

19時終演。もう外は真っ暗。季節は冬へまっしぐら…かな。