本来なら今頃、歌舞伎座は團十郎襲名披露で大賑わいのはずだったのにねぇ。その初日になるはずだった3日に、海老蔵がブログで、自分は今日から團十郎になったんだろうかと。たしかに歌舞伎の襲名って、披露興行として舞台で挨拶するだけで、たとえば歌舞伎座で最初に披露したあと、地方の劇場に最初に出演するときに(数か月後であっても)また襲名披露興行として口上の幕があったりするからねぇ。相撲の横綱の場合は昇進伝達式というのがあるから、その日をもって横綱に、と日時がハッキリするんだろうけど、歌舞伎はその点あいまいだし、襲名披露興行が延期になるなんて異例のことだから。興行はあくまで披露であって、襲名はもう済んでいると考えるべきなのかどうか。松竹の見解をきいてみたい。
今日のウィーン国立歌劇場の配信は、またしても「フィデリオ」。ウィーンの人たちはどれだけフィデリオ好きなのか。ベートーヴェンへのリスペクトゆえかしらねぇ。それでも観てしまうのは、レオノーレがニーナ・シュテンメだったから。ビッグネームに弱いのね。ただ演出もまったく同じだし、これだけ短期間に何度も観ると細かいところまで把握できているので、字幕なしでも問題ない。
他にはロバート・ディーン・スミスのフロレスタン、ヨッヘン・シュメッケンベイヤーのピツァロ、ラルス・ヴォルトのロッコ、アンニカ・ゲルハルズのマルツェリーネ、ノルベルト・エルンストのヤキーノ、セバスチャン・ホレチェクのドン・フェルナンドといった配役で、カーテンコールではこれらのキャストよりも指揮者のアダム・フィッシャーのほうが拍手が大きかったような。もちろん、それは同時にウィーンフィルへの拍手でもあるのだろうけれど。
観終えたあと、柿の木の枝に猫が座っている絵の続き。空の青に対して枝が弱く、沈んでしまっていたので、影のコントラストを強くしてみた。さらに柿の実もひとつひとつ立体的に見えるよう描き込んでみる。そして最後に、猫。ここまでは空の部分を塗り重ねる都度、猫の輪郭線に入り込むように筆を動かしてきたので、黒猫の身体の内側から外へ、輪郭線がきっぱりとしすぎないように気をつけながら、小さな頭や胴体の形を明確にして、最後の最後に目を入れる。ごく小さな点でしかない目なんだけど、その位置やちょっとした角度で印象が変わってしまうから、緊張しながら慎重に。
自宅で絵を描くときの道具箱は、こんな感じ。
夕方から夜にかけて、松本清張原作のドラマ「点と線」の再放送を見た。三原警部補(高橋克典)の現在を宇津井健さんが、鳥飼刑事(ビートたけし)の娘(内山理名)の現在を池内淳子さんが演じているほか、樹木希林さん、市原悦子さんと懐かしい方々に加え、錚々たる顔ぶれ。最近のドラマや映画の宣伝に「豪華キャスト」とあっても、どこが豪華やねん、と思うことが多いんだけど、このドラマはたしかに豪華だったなぁ。