まるぶろぐ

備忘録として日々の出来事をこまごまと綴っております

サロメ

ゆっくり起きてひと息ついて、OTTAVA.TVで配信がスタートしているウィーン国立歌劇場の「サロメ」を視聴。

これまでにも何度か映像で観たことのある作品だけど、血みどろだったり必要以上にエロチックだったり、ヨカナーンの首を串刺しにして高々と掲げたりと、おどろおどろしさが際立つ演出が多くて、あまり好きになれずにいた。それが今回は極めてオーソドックスで、主人公のサロメが初めて魅力的に見えた。ローエングリンもそうだったけど、オーソドックスな演出ってやっぱり貴重。

ミヒャエル・ボーダー指揮、ボレスワフ・バーログ演出で、タイトルロールのサロメをリゼ・リンドストローム、ヘルヴィッヒ・ペコラーロのヘロデにワルトラウト・マイヤーのヘロディアス、ミヒャエル・フォレのヨカナーンにカルロス・オルトのナラポート。マイヤーはMET「エレクトラ」の母親役が印象に残っていて、フォレは同じくMETの「マイスタージンガー」をはじめとして、敬愛するバリトンのひとり。

舞台は初めから最後までずっとヨカナーンが閉じ込められている井戸の周辺で、舞台下手と奥の扉から人が出入りするだけで場面転換はない。シンプルな装置の中で繰り広げられる濃密な世界。

最後の最後、ヘロデの命令で、ヨカナーンの首を前にうずくまっているサロメの背に兵卒たちが剣を突き立てる一撃。それを表現するオケの音がばらけてしまった。ズバッと決まればかっこよかったのにー。生中継だからこういうこともあるよね。

写真は、ウィーン国立歌劇場のサイトから「サロメ」のページのスクリーンショット

f:id:maru99:20200128105922j:plain