国立劇場の毎年恒例、音羽屋の初春歌舞伎は、写真のとおり、通し狂言「姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ)」。並木五瓶による原作の名題は「袖薄播州廻(そでにっきばんしゅうめぐり)」。姫路城が舞台だし、音羽屋の芝居だから、今回の名題のほうが分かりやすくていいかな。
楽しかったー。
菊之助も梅枝も時蔵もそれぞれ女形と立役の両方を見せてくれるし、和史くんも眞秀くんも長い台詞を立派にこなし、女形姿の菊之助を真ん中に並んで座り、一緒にわらべうたを歌う場面の可愛らしさといったら!
親狐の松緑を芯にした立ち廻りでは、捕手が大縄跳びを見せ、縄に足を引っ掛けてしまうのは橘太郎。物語も分かりやすいし、最初と最後を悪役の菊五郎がビシッと締め、華やかな装置も衣装もお正月らしくて十分に楽しめた。
11月の大岡越前も12月の石川五右衛門も気の毒なまでにガラガラだったけれど、今日は入りも上々。よかったよかった。
残念だったのは左隣りのオバサン2人で、ペチャペチャ、ガサガサ、うるさいうるさい。しかも1人は知ったかぶりで、和史くんと眞秀くんの区別もついていないし、右近のことを「延寿太夫の後を継いで家元になったのよ」なんて言ってる。清元の名前をもらっただけで、家元はまだパパの延寿さんだから!
対して右隣りのご夫婦はとても感じがよく、手拭い撒きのとき、私はもう手を出さなかったんだけど、菊五郎さんの投げた手拭いが両隣りから伸びた手をすり抜けて私の膝にスポンとのったので、幕が閉まったあと右隣りの奥様に差し上げたら、ご夫婦そろってとても喜んでくれた。
以下は、ロビーのお正月飾りあれこれ。